2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
ちらりと朱の方へ視線を向ければ私に気を使ってくれているようでこちらに背を向けいる朱の姿がある…訳もなく。
ニコニコと天使のような笑顔を浮かべて朱はこちらを見ていた。
着替えを手伝う気しか感じない。
「…えーっとつかぬことをお聞きしますが、まさかだとは思いますが、わた…いや、俺の着替えを…?」
「もちろん手伝うよ?昨日もそうしたでしょ?」
やっぱりー!
恐る恐る朱にそう問うと不思議そうに朱は首を傾げて私を見つめている。
何言ってるの?兄さん?、とその大きな瞳が私を不思議そうに見つめている。
いや、うん。
昨日もありがとうございました。
でもね?昨日はもう熱で弱ってたから、なすすべなくって感じで朱の言うこと聞いちゃったけどね?
今は元気なんだわ、普通に。
できるんだわ、自分で着替え。
私は朱に全てにおいて弱い。朱の困った顔、泣きそうな顔、辛そうな顔には特に弱く、ついつい朱の要望を受け入れてしまうところがある。
だがしかし、だ。
これはダメだ。普通に恥ずかしい。恥ずかしさで死ぬ。