2度目の人生で世界を救おうとする話。前編





『秘密だ』

「ふーん。そう」


淡々とそう言った龍に特に深く追求するつもりもなく私も龍と同じような淡々とした相槌を打つ。

言いたくないのなら別に無理矢理に聞こうとは思わない。
しかしどんなものなのか気になるのは気になる。
龍はいつも口数が少なく、自分のことはあまり話したがらないからよくこう言うことになる。


「その願いを叶えるのは難しい?願掛けしたくなるほどのことだよね?」

『まあそうだな』

「…なるほど」


無理矢理聞き出すつもりはないがどのようなものなのか何となく龍に聞いてみると、それを龍は肯定した。
私はそれを聞いて深く頷く。

龍は今でこそ封印されている為、何もできないがあと半年もすれば少しずつ封印が解け出しそれこそ何でもできる存在へと変わっていく。

そんな龍の〝叶えることが難しい願い〟だなんて一体なんなのだろう。
姫巫女の殺害…とか?人間の滅亡?
想像すればするほど物騒なことばかり頭に浮かんできてしまう。


「…誰かが死ぬ、とかそういう物騒な願いではないことを祈ってるよ」

『何故?妖らしいいい願いじゃないか』

「え?人間の滅亡願っちゃったの?」


私の発言を龍が肯定したことによっていよいよ龍の願いは物騒説が濃くなる。

まさか私人間滅亡の片棒を担いでしまった?世界を救おうとしているのに?
人間滅亡なら世界は滅亡していないならセーフなのか?
まあ、ミサンガ如きで人間を滅亡へと追い込むことなんてもちろんできないだろうが。


『ふっ、そんなもの願わなくてもこの俺が必ず成し遂げてみせる。俺の願いはもっと大事なことだ』

「…へぇ。とりあえずはよかった」


そんなことを思っていると、そんな私を小馬鹿にしたような龍の言葉が聞こえてきたので小馬鹿にされていることは置いといて私は安堵した。

人間滅亡の片棒を担ぐことにならなくてよかった!










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