2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「龍の願い叶うといいね」
『ああ。もうあんな思い二度とごめんだからな』
やっと心から龍の願いが叶うことを笑顔で祈ると龍はどこか辛そうな声でそう言った。
何が龍をそんなに辛くさせているのかはわからないが、龍の声だけでもその辛さや後悔の念が十分に伝わる。
「龍。今の龍には私がいるんだからね?2度目の私は最初から龍の味方だよ」
『…ああ。そうだな』
少しでも龍のその辛さを紛らわすことができるように私はにっこりと力強く笑う。
すると今度は龍の声から辛さがなくなり、いつものように冷たい声だがどこか柔らかいものへと変わった。
龍たち妖も朱たち人間も。
私にとって大切な全ての存在が幸せになれる未来があればどんなに幸せなのだろうか。
せっかく2度目の人生を歩めているのだから、その為に私は頑張っていきたい。
もちろん1番はこの世界を滅ぼさない!だけど。
夏休みが終われば秋になる。
私が独りになってしまうまでもうあと半年。