2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
何としても変えたい未来。

1.守護者任命式






夏休みが終わって1ヶ月半が過ぎた。

夏の暑さもすっかり落ち着き、紅葉やイチョウの葉っぱたちが色づき出した今日この頃。

秋真っ只中の本日、学校内にあるとある式典用の大きなホールでは我が学校の全校生徒を始め、能力者上層部や関係者などが集められてある重要な式が行われていた。



「それでは春名 蒼様、桔梗 琥珀様、葉月 紅様、冬麻 武様、舞台へ壇上してください」



司会者に名前を呼ばれ、ホールの座席から蒼、琥珀、私、武が立ち、言われた通りに舞台の方へ向かう。

今行われている式は〝守護者任命式〟だ。

2度目の私は1度目と比べればちょっとした失態もあったが、それでも実力的に危うげもなく、周りに期待された通りの結果で守護者の1人に選ばれた。



「…」



一人一人きっちりと舞台に壇上する前に礼をして、舞台に壇上する。
そして私たちは先程までここにいる全能力者に向けて挨拶をしていた麟太朗様に頭を下げた。

これから左から蒼、琥珀、私、武という順で麟太朗様から直々に守護者の証の腕章を右腕に付けられる。

自分の番を待ちながら頭を下げ続けているとついに麟太朗様から私に声がかかった。



「紅。顔をあげなさい」

「はい」



優しいがどこか凛とした麟太朗様の声によって私はゆっくりと真剣な表情で顔をあげる。

すぐそこで私をまっすぐ見つめる麟太朗様はやはりいつ見ても美しく、思わずその美しさに息を呑んだ。









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