2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「よく私の期待に応えてくれました。このことを誇りに思い、これからも精進してください。姫巫女のことをよろしくお願いします」
「はい」
麟太朗様の手によって私の右腕に守護者の証である腕章が付けられる。
金と黒の腕章には能力者を束ねる四季家の紋章が描かれており、色のせいもあってかよく目立つ。
またこの派手な腕章を付ける日がくるなんてね。
1度目はここが一つのゴールでもあったから嬉しくてこの後一人で泣いたっけ。
今はこれを外したくて仕方ないが。
「ありがたいお言葉です。これからも期待に応えて参ります」
私は麟太朗様に腕章を付けられた後、全ての感情を殺したような表情と声で麟太朗様にそう言った。
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守護者任命式後、任命式が昼前だったこともあり、今日の昼食は四神屋敷で麟太朗様と私たち次期当主で食べることになっていた。
いつものように武、私が同じソファーに座り、机を挟んで向かい側のソファーに琥珀、蒼が、そして上座の1番座り心地の良さそうな1人用の椅子に麟太朗様が座り、始まった昼食。
今日は麟太朗様もいるということもあり、目の前にはこれまた豪勢なシェフが腕を振るった料理がずらりと並んでいた。
すごくすごーく美味しそうな料理だが、麟太朗様がいるだけでどこか厳かな雰囲気の昼食になってしまう為、正直味を楽しむ余裕なんて今の私にはない。
先ほどからずっと言葉遣いだとかちょっとしたマナーだとか一生懸命粗相がないように気を引き締めて、機会的に口に豪勢な食べ物をとりあえず入れていた。
味が全くわからない。
食べた気がしない。