2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「ところで強化合宿は今月中だったかな?」
「はい。今月末です」
「そうか。今年は紅と武も参加するしどんな内容になるか楽しみだね」
ふと思いついたように〝強化合宿〟について話を始めた麟太朗様に蒼が答える。
そこから蒼だけではなく、琥珀、武も交えて高等部の秋の恒例行事〝強化合宿〟の話が始まった。
もちろん、私もこの会話に参加はしている。
だが、中身のない生返事をただ繰り返しているだけで、頭の中では別のことを考えていた。
うちの学校の高等部では秋になると、文字通り実戦の力を強化する為に学校外にあるとある施設で強化合宿を行う。
合宿の内容は2泊3日の間に様々な実力の生徒と実戦をただ繰り返し、実力、経験値を共に積もうというものだ。
1度目でもこの強化合宿は当然あったし、私も参加した。
そして1度目のこの合宿で参加者の半分ほどが死ぬ惨劇が起きた。
強い妖たちが何故か結託し、合宿中の施設を襲撃してきたのだ。
合宿には高等部の全生徒とたくさんの関係者、先生が参加していた。
私はこの合宿でまた同じ惨劇が起きないようにしたいのだ。
1度目と同じには絶対にさせない。
幸いにも今の私は2度目。
正確な時間などは覚えていないにしろあの惨劇の概要は何となく頭にある。
つまりうまく立ち回れば防ぐことができるはずだ。