2度目の人生で世界を救おうとする話。前編





*****



少々空気が悪くなってしまう場面もあったが、他のことでは特に失礼もなく、一応無事に麟太朗様との昼食を終えた。

緊張から解放された午後の授業はいつにも増して眠たかったし、しかも5限も6限も座学だった為、余計眠気が私を襲い最悪だった。

次期当主たる者授業中に居眠りだなんて笑止千万。ありえない。
今までの努力の結晶である完璧な私が台無しだ。

だから今日も気合いで午後の授業も目を開けていた。


そしてやっと放課後がやってきた。




「帰るぞ、紅」

「うん」




いつものように必要な教科書やノートをカバンに詰めていると武が私のところまでやって来た。

武は帰りのホームルームが終わるといつもまっすぐ私のところへやって来る。一時たりとも私から目を離さないという強い意志を感じる行動力だ。

1度目とは明らかに違う。



『俺はお前となるべく一緒に居たいんだよ、悪いかよ』



夏に武が私にそう言ったことを思い出す。

今の武は何故か私となるべく一緒に行動したがるし、私を必ず1人にはさせないという強い意志をどうしても所々で感じさせる。

今日の麟太朗様との昼食でもそうだったように。






< 194 / 296 >

この作品をシェア

pagetop