2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
血の滲むような努力のおかげで、悲しいかな立派に男として成長して10年余り、17歳になる年、つまり高校2年生の時には名家の次期当主の1人として周りから一目置かれる存在になっていた。
いや、高校生にもなって男として生きていけんのかーい!大分体格とかいろいろ誤魔化すのも限度があるでしょーが!
て、ツッコミたくなりますよね?
わかります。
でも女特有の線の細さはこの人よりはキツめだが整っている顔のおかげもあってか儚げ美少年で通っていたし、何よりも何人か私の素性を隠す協力者もいたのだ。
そして立派な男児の私は見事能力者としての名誉である姫巫女の守護者の1人に抜擢された。
私の家、万々歳である。
そこからもう最高に最悪だった。
ただでさえ長い話がさらに長くなるので割愛するが人生の中で一番最悪な一年を過ごした。
私は独りになった。
地位も名誉も全てを失った。努力は必ず報われるとは誰が言ったのだろう。
私の努力は泡のように呆気なく消え去ってしまった。
そんな私でも大厄災は「欲しい」と言った。もう私を求めてくれるのならば誰でもよかった。それが世界を滅ぼす悪魔の手だったとしても。
だから私は悪魔の手を取った。初めて私が私として受け入れられた瞬間だった。
そして私は大厄災と共に戦い、物語の幸せな結末と同じように悪役としてこの世を去ったのだ。