2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「守護者含め能力者の戦力達がここから出て外泊する日…能力者たちは強化合宿と言っていましたかね。この日に龍の注文通りできるだけ強く聡い妖を集めました。襲撃準備はいつでもできています。龍の方は何か守護者の情報を得られましたか?」
『ああ。守護者の顔ぶれがわかった。例年通り、火、水、雷、風、全て四神の子孫だ。見ればわかるだろう』
「やはりそうですか。その内の1人が先程私を殺しにかかった人間ですね」
『そうだ』
暁人と目的の為に必要な情報を共有していく。
この会話からわかる通り目的とは紅が阻止したがっていた能力者への襲撃のことだ。
俺は封印が解け始めたあの夏の終わり頃から何度も暁人をここへ呼び、1度目と同じように能力者たちへの襲撃の準備をずっとしていた。
「1つ、もう一度だけ確認したいのですが」
『なんだ』
スッと先程まで浮かべていた笑顔が暁人から消える。
暁人は俺の返事を聞くなり、こう続けた。
「本当に守護者を狙わなくていいのですか?こちらには能力者たちの情報が筒抜けな上、上質な妖総動員での襲撃です。これは守護者を殺す絶好の機会では」
俺が何を言っても大体理解を示し笑顔で〝YES〟と答える暁人が、今回ばかりは釈然としないといった様子で俺を見つめる。