2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
『じゃあ逆に聞くがお前はあれに絶対に勝てる自信があるのか?』
俺はそんな暁人に冷静に淡々と答えた。
〝あれ〟とはもちろん紅のことだ。
『確かに守護者を殺すことができれば能力者側の戦力を大幅に下げることができ、この目的の狙い通りになる。だが守護者を殺すことは簡単なことではない。俺と暁人ならまだしも、他の妖ではまず難しいだろう。それならば質より量をとって戦力を下げさせた方がいい』
「…そう、ですね」
俺の説明を聞いてほんの少しだけ悔しそうに暁人が表情を歪める。
普段あまり顔色を変えない暁人にとってそれはとても珍しいことで、その表情が紅の力をあの一瞬で把握し、己の力では簡単には勝てないと理解したことを物語っていた。
『だが1番強いのは先程の火の能力者だ。あれだけ頭一つ抜けている。他の守護者は殺せる隙があるようなら遠慮なく殺せ』
「もちろんそのつもりです。あの火の能力者も隙さえあれば殺します」
『いや、あれには傷一つ付けるな』
「…え?」
悔しそうな表情はすぐに消え、いつもの調子を取り戻した暁人だったが、今度は俺の予想外の言葉により、僅かに動揺した声をもらす。
あくまで表情は元に戻した笑顔だが明らかにその表情には困惑の色があった。