2度目の人生で世界を救おうとする話。前編






…私が本気を出すほどの実力はないだろうな。
今回の実戦も程々にして体力を使いすぎないようにしよう。



「琥珀様、紅様、準備はよろしいですか?」



私と琥珀の実戦の審判員である職員が私たちに声をかける。

それと同時に職員は私たちの首元にチョーカーが付けられているか軽く目線を向けて確認をした。


実戦は相手のチョーカーを壊した方が勝ちだ。
このチョーカーが付けられていないとそもそも実戦が始められない。


実戦をする度に壊れ、消費されていくチョーカーを見て思う。
何てチョーカーがもったいないのだろうか、と。

妖を殺す唯一の方法が首を吹っ飛ばすことだからとはいえ、もうちょっとやりようがないのだろうか。



「「はい」」



そんなことを考えている私と逆に無表情で何考えているかわからない琥珀は同じタイミングで職員に返事をした。



ちなみに実戦の審判をする人は風の能力者でなければならない決まりがある。
何故ならば風の能力者でなければ実戦中のどちらか一方が危険な能力の使い方をした時に庇いきれないからだ。

例えばチョーカーを壊すはずの攻撃が勢い余って首を吹っ飛ばす攻撃になった時、それに気づいて一瞬で遠ざけることに適しているのは風の能力者だ。
水の能力でもできないことはないが風の能力の方が適しているし、適任者が多い。

だからこの合宿には能力者中からありったけの風の能力者が集められている。

職員だけでは審判員の数が足りないからだ。

琥珀と私の実戦の審判員は職員だが、先程までの私の実戦の審判員は社会人の能力者だった。










< 225 / 296 >

この作品をシェア

pagetop