2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「人間のくせに。今すぐここで殺してやりたいですね」
ボウ!
暁人は忌々しげにそう言うと自身の右手から私と同じように火を出した。
強い妖は優れた身体能力以外にも私たち能力者と同じように能力が使える。
しかも人間のように一種類とかではなく何種類も使える妖が多い。
暁人はその何種類もの中でも火の能力を使うことが多かった。
暁人が強いことは重々承知だ。
負ける気はしないが暁人とは全力でやらなければ私が殺される。
つまり暁人とやり合っている内は妖の襲撃に対応できない。
「…」
返り討ち作戦やっぱり変更だ。
ここは全体の被害を減らすためにも隙を見て逃げるしかない。
「…なんて。貴方がこちらに攻撃してこない限り貴方に攻撃するつもりはありませんよ」
逃げる隙を伺っていると暁人はどこか可笑しそうに笑った。
「貴方には傷一つつけるなと言われていましたね」
「は?」
どういうこと?
可笑しそうにだが、困ったように笑っている暁人の言っている意味がわからない。