2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
私は暁人の存在を無視して先程来た道から自分の部屋の中へ急いで戻った。
「さあ、楽しい夜の始まりですよ」
暁人の楽しそうな声が後ろから聞こえたが私は振り返らなかった。
そして暁人もそんな私を止めようとはしなかった。
*****
それから私は教師たちが集まっているであろう合宿所内の部屋へ一目散に向かった。
そしてその部屋に着くや否や私は今の私たちが置かれている状況を私が先程知り得たもので簡潔にかつ細かく教師たちに伝えた。
もちろん暁人との邂逅までは伝えていない。
最初こそいきなり突拍子もない話をし始めた私に対して、信じられないような表情を浮かべていた教師たちだったが、何人かが外の様子を確認し、やっと私の言い分を信じ始めた。
「これは一刻の猶予も許されない。直ちに生徒の避難を開始させるべきだ」
「1人での行動は危険なので最低4人1組で行動させましょう」
「食堂へ避難させるのはどうでしょう?教師陣は食堂と合宿所内二手に分かれて妖に対応するのが得策かと」
「あの数の妖を教師陣だけで対応するのは無理がある。実力のある生徒にも任務のように最低2人1組で対応するように指示を出そう」
教師たちが真剣な表情でこれからの対応についてどんどん決めていく。
この調子ならもう数分もしない内にまだ何も知らない生徒や他の能力者たちにも的確な指示が出るはずだ。
つまりここからは1度目とは大きく状況が変わることとなる。
これで1度目のような惨劇は回避できるはずだ。