2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
私は僅かな希望を抱いて蒼のことを追い抜いて妖の方へ走っていた。
「蒼ぃー!」
間に合わすにはもう一つしか手はない。
私の中ではこれしか思い浮かばない。
蒼の名前を叫び、その場で走りながら飛ぶ。
すると…
「…!」
蒼は私の呼び声だけで私の要望を察し、私を勢いよく泥の妖のところへ風で飛ばした。
よし!
右足から火を出す。
そして私は泥の妖に飛び込むと同時に火付き回し蹴りを泥の妖に炸裂させた。
「ぐごごごおおおおっ!」
それをまともに受けた泥の妖の体はどーん!と派手な音と共に廊下の壁に叩きつけられる。
「ゔ、ゔぅ…、ゔ…」
苦しそうな妖の唸る声を聞きながらも私はすぐに状況確認を始めた。
「大丈夫?」
まずは目の前にいる今まさに襲われそうになっていた男子生徒に手を伸ばす。
「…あ、ありがとうございます」
男子生徒は何とか私の手を取って立ち上がったが右足から出血しており、力があまり入っていないように見える。
おまけに顔色もあまり良くない。