2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
私はその手が私に届く前に強力な火を出して妖の手を焼き落とした。
『ぐああああ!』
手を失い痛みに苦しむ妖の手がぼと、とその場に落ちる。
その手が私の頬を掠った。
それにより頬からたらりと血が流れる。
「あなたの答えはわかった。逃げないというのならせめて一瞬で死んで」
静かにそう言って右手に力を集中させる。
そして私はその右手を妖の方へ突き出した。
最大火力でできるだけ早く苦しい時間が短いように頭を灰にしよう。
ボウ!と先程妖の手を焼き落としたものとは比べられないほどの火を妖の頭に灯すと私は自分の全力をかけて妖の頭を一瞬で灰にした。
『があっ』
本当に一瞬でだけ苦しそうな声をあげて妖はその場で絶命をした。
「…」
今晩はこうやってたくさんの妖の命を奪うんだ。
自分たちが生き延びる為に。
こうならない為に龍の力が必要だったのに。
どうして龍は私に嘘をついたの。
やり切れない想いを胸に私は後ろから蒼が先陣を切る前を向いた。