2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
孤独になるはずの存在を。
1.変わり始めたシナリオ
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強化合宿を無事に乗り越えて、季節は秋から冬へと変わった。
頬に当たる風は冷たく、冬の厳しい寒さを感じる今日この頃。
私は自室で一人、年末の帰省の為に荷造りをしていた。
本当は夏のように帰りたくないのだが、年末年始は何かと次期当主として家でやらなければならないことがあるので帰るしか選択肢がないのだ。
「あー。嫌だな…」
重たい足取りで棚の方へ向かう。
棚の前に立つと私は必要最低限のものを選んで取り出そうとした。
…したのだが。
「…えっと」
何が必要で何が不必要なのかわからない。
どれだけのものが家にあるのかあまりにも帰省していないので忘れてしまっていた。
服はもしかして要らない?下着は?
男装用の物は一通り揃えるべきなのか。
困った。
コンコンッ
答えのわからない選択の連続に棚の前で固まっている私の耳に扉を叩く音が聞こえる。
絶対、朱だ!
タイミングがよすぎる!