2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「姫巫女どこにいるんだろ…」
見つからなければいいのに、と思ってしまう。
龍を封印されたくないし、彼女のせいで酷い目に遭って来たのだから。
能力者側としては大厄災、龍に唯一対抗できる手段は姫巫女しかいないので今必死に探している最中だ。
守護者である私たちにも時間があれば姫巫女を探すように指示が出ているが一向に見つかる気配がない。
一度琥珀と任務に行った時姿を見たし、見つけようと思えば見つけれそうなものだけど。
難しいのだろうか。
『探していないですよ』
「っ!」
姫巫女のことについて考えていると毎度の如く神様が急に話かけてきたので私は驚きで肩を大きく揺らした。
神様の気まぐれな神出鬼没さにはずっと慣れない。
そもそも頭にいきなり他人の声が聞こえて来ることに慣れれるか?
『探していないってどういうこと?』
今この部屋には私しかいないが、誰が扉の向こうや窓の向こうで聞き耳を立てているかわからないので私は心の中で神様に質問をする。
『どの時代のシナリオでも姫巫女は守護者の誰かによって見つけられる存在なんです。前回は蒼でしたね。今回も蒼が見つける予定なのですがその蒼が姫巫女を本気で探していないのです』
『…』
本来姫巫女を見つける役割のある蒼がそれを放棄しているらしい。
だから姫巫女が見つからない、と。
何故、蒼はシナリオ通りに動いていないのだろう。
これも私が世界を変えたからだろうか。