2度目の人生で世界を救おうとする話。前編





「その話、私も聞きましたぞ!」

「それはそれはご活躍されたとか!」

「ぜひどのようなことがあったのか聞きたいですね」

「私もよろしいですかな?」



どう返答しようかほんの少し考えた瞬間、待ってました!と言わんばかりに他の男たちが私も元へ勢いよく集まってきた。


え!増えた!?
この誇張された話信じているんだよね!?どうやって訂正しながら話そうか!?



「それでは…。合宿の日の夜ですが、あの時、普段は感じられない不穏な何かを外から感じたので俺はすぐに様子を見に行きました(訳:初めから妖が来ることを知っていたので屋根に登って見に行きました。)」


私の周りに集まり、興味の視線を向ける男たちに私は落ち着いた様子でゆっくりと大真面目に嘘を口にする。

本当のことなんて言える訳ない。



「そこで複数の妖の存在を知り、先生方に報告に行きました。それから自分の力は自分がよくわかっていますのですぐに自分が妖対応をすべきだと判断し、率先して妖対応に向かいました」



淡々と話す私の耳に「素晴らしい」「さすが葉月家の次期当主様ですな」「これなら姫巫女も安心して任せられる」とすでに私を絶賛している声がちらほらと聞こえる。

ごまをすっているのだろう。
未来の葉月家当主様だからね。
もちろん本当に感心している人もいるとは思うが。



「俺が妖を殆ど退治したという話ですがあれは少々話が盛られています。俺は人並みにしか対応しておりません」



やっと私が話したかったことの真相を真面目な顔で今度は嘘一つなく話す。



「またまた。ご謙遜しなくてもよいのですよ」

「ええ。この話は決して盛られておりません。目撃情報は多数あるのですから」



だが男たちは私の話を一切信じようとしなかった。


いやご謙遜なんてしてねーよ!











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