2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「皆さんの言う通りです。紅は随分謙遜をしています。紅の話はよろしければ僕がしましょう。あの時ペアを組んでいたのは僕なので」
「…っ!」
もういいや、好きに言わせとこ、と思っていると私大絶賛の会(不本意)にいきなり蒼が爽やかな笑顔で乱入してきた。
今日の蒼はこの会場いる人たちと同じで紋付袴姿であり、品もある為非常にオーラがある。
そこにいるだけで華があってきっと蒼を知らない人でも何か特別な人間だと感じられるだろう。
「まず紅は最初に見つけた妖を単独で攻撃に入りました。その判断力は目を見張る速さで僕は咄嗟に彼のサポートとして彼を風で飛ばしました。それから…」
そこから蒼による本当だけど私からしたら誇張しまくった合宿の夜の話が始まった。
適当に相槌を打っておけばそんなに長引かないはずの話も蒼のせいで台無しだ。
蒼が話せば話すほど人が増えていき、それはそれはもう話は永遠に続いた。
もちろんさすがに長すぎるし誇張がすぎるとやんわり否定しようともした。
だが、それは蒼の話術の前に儚く散った。
…単純な強さだけが全てではないと改めて思ったよね。
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「蒼のバカ」
やっと私大絶賛の会(不本意)から解放された私は人の輪から外れ、私と隣にいる蒼を睨んだ。
こいつのせいで酷い目にあった。
「そんなに怒らないでよ。紅が謙遜しすぎるからだよ」
「謙遜なんてしていない。蒼は誇張しすぎ」
私に睨まれても気にせず笑う蒼に私は呆れたように肩を落とす。
本当はもっと眉間にシワを寄せて睨みたいがここではどこで誰が見ているかわからないのであくまで隙のない次期当主の姿を保たなければならない。