2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
3.願い事
side朱
僕の腕の中で姉さんが震えている。
どんな感情で姉さんは今震えているのだろうか。
真実を受け入れ難いのだろうか。
それでも僕はこの真実が嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
ずっと僕は姉さんが〝姉〟であることが嫌で嫌で仕方なかったから。
いつからだろうか。
姉さんが兄から姉へと僕の中で変わってしまったのは。
姉さんに向ける感情がただの家族に向ける好きという感情から異性へ向ける愛へと変わってしまったのは。
真実を知るまでは実の姉にそんな感情を向けるのはおかしいと何度も何度も自分を律していた。
だけど中等部2年の冬。
姉より早く1人で帰省した1年前のあの日。
僕は全てを知ってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーー
姉さんはまだ帰省しないらしい。
大好きな姉さんと一緒に帰省したかったが姉さんにはまだ用事があるようで僕だけ一足先に帰省していた。
そんな僕には帰省しても特にやることがなく、今日も暇を持て余し、ただ自分の部屋でぼーっと過ごしていた。
そして今はここにいない姉さんに思いを馳せていた。
姉さんが中等部3年で僕が2年。
たった一つ違いだが、姉さんはここ数年で随分成長し、より一層女らしさが増した。
逆に僕はまだまだ成長途中だ。姉さんと一緒に並べば身長はあまり変わらないし、体格も同じように見える。
だが、それは姉さんが努力してそう見えるようにしているだけで姉さんの服の下はいつも僕とは違う柔らかさがあった。
姉さんはどうしようもなく女でそれに抗うにはそろそろ限界を感じさせるようになっていた。