2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「…それは任務とかで必要なのかな?」
それからやっと私は口を開いた。
何も考えず思い付いたままを口に出してしまった。
強い能力者のチョコレートが妖退治に必要不可欠…とか。
「…」
いや、それはないな。
突拍子もない変な話に私は自分で考えておいて呆れてしまった。
あまりにも混乱してしまい思考がバカになっている。
「任務?違うよ。僕がただ欲しいだけ。僕には姉さんのチョコ必要なんだよ」
混乱している私に朱がおかしそうにだけどどこか愛おしそうに私を見て笑った。
あ、もう確定じゃない?
朱の気持ちをちゃんとわかっていないのに決めつけたくないだとか言い訳して1ヶ月見て見ぬフリをしてきた朱の想いももう見て見ぬフリをするには限界だと気づいてしまった。
朱は私が好きなんだ。
「…〜っ」
そう思えてしまうとダメだった。
あんなに得意なポーカーフェイスもうまく保たず顔が真っ赤になってしまう。
「…わかった。頑張って作るね」
私は真っ赤になりながら何とか朱に返事をした。
そんな私を見て朱が心底嬉しそうにしていたことを私は知らない。
私にはそこまでの余裕がもうなかった。