2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「はい。2人ともいつもありがとう」
そして私はにっこり笑って日頃の感謝の気持ちを込めて琥珀と蒼にチョコの袋を渡した。
「こちらこそありがとう。嬉しい。早く食べたい」
「…え?は?」
琥珀と蒼が真逆のリアクションで私からチョコの袋を受け取る。
琥珀は嬉しそうに蒼は戸惑いながら袋を見つめていた。
「紅は結局何を作ったんだ?」
「簡単なものしか作れないから普通に溶かして固めたチョコだよ。何もしていないから味は保証する」
「そうか。食べるのが楽しみだ」
琥珀に無表情のまま話しかけられて私は笑顔でそれに答える。
蒼だけは未だに状況が飲み込めていないようで私たちの会話を聞きながらも「…は?」と言っているだけだった。
いつも冷静沈着、感情を他人に絶対読ませないマンなのに珍しい。
「これ、紅の手作り?今日はバレンタインだよ?これはバレンタインチョコかな?」
やっと戻った若干胡散臭い笑顔が崩れた表情で蒼が私に質問する。
武もそうだったけど蒼も私からの突然のチョコレートに驚きを隠せいないようだ。
まあ、長く付き合っていて初めてだからね。
「そうバレンタイン。いつもの感謝を込めて。手作りだよ」
「そっか」
私が改めて今渡した袋について蒼に説明すると蒼は感慨深そうに袋を見つめた。
袋を見つめる目にはいろいろな感情を感じられる。
その中でも嬉しさが1番に感じられた。
他の感情もあるみたいだがそこまで深くはもちろん私にはわからない。