2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「えっと…ほら!そこの写真!」
何とか誤魔化そうと思って部屋中を見渡せば棚の上に飾られていた私と武の写真を見つけ咄嗟にその写真を指差してしまった。
写真に写っていたのはここの初等部の入学式の時の私と武の姿だった。2人とも高そうな袴を着ており如何にも跡取りおぼっちゃまって感じがする見てくれだ。
「可愛いね」
その姿があまりにも可愛らしくて思わず笑ってしまう。2人ともキリッとした顔をしているが衣装に着られている感がある。
コスプレじゃん。
「…その写真な」
武は私と同じことを思ったのか写真を見て笑っている。その目はあの時のことを懐かしむような優しい目だった。
「この頃のお前、能力がいつも暴走して大変だったよな」
「ゔっ、覚えてたんだ」
「忘れる訳ねぇだろ。誰がそれ止めてたと思ってんだ」
武がおかしそうに話す内容に私は苦虫を潰したような顔をする。と、武は呆れたように、だがもっとおかしそうに笑った。
武の言う通り当時初等部1年の私はよく能力を暴走させていた。理由は単純。次期当主、いや私の能力はおそらく現当主、歴代当主の中でも稀に見るほど強いもので、当時はその力をコントロールする実力がまだ身に付いていない状態で、能力を使っていたからだ。
なのでうまく扱うことが出来ずに何度も教室や下手したら学校内のちょっとした建物を全焼させていた。よくそれはもうよく火の海を作っていた。
それを止めてくれていたのが武だった。
武は水の能力者なので火の海を作れば、己の最大を持って消火にあたってくれたし、私が発火しようものなら水を頭からよくぶっかけてきたものだ。
まさに私専用の消防隊である。