2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
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「ねぇねぇ武!」
初等部1年の春。
入学したてで、まだ着慣れていない新しい制服に身を包む美しい少年…いや、少女である紅が俺の隣で嬉しそうに俺の名前を呼んだ。
「次の能力実技楽しみだね!」
「そうだな!」
にこにこ本当に嬉しそうに笑う紅に俺も嬉しそうに笑顔で答える。
俺も紅と同じようにこれからこの授業を受けられることが本当に嬉しく、ずっと楽しみで仕方なかった。
俺と紅、そしてクラスメイトたちが今いるこの教室は能力実技専用の教室であり、これから行われる授業は初等部に入って初めての能力を使う実践的な授業だった。
「はい、皆さん静かにしてください。これからお待ちかねの能力実技の授業を始めますよ」
教壇の前で能力実技授業担当の若く優しそうな女の先生が生徒全員にそう声をかける。
すると先程まで話をしていた生徒たちはすぐに黙って期待の目でその先生を見つめた。俺も紅ももちろん例外ではない。
「皆さん、授業で属性のことは習いましたね。属性によって能力の鍛え方は全然違います。今日は初歩的な属性別の鍛え方を実際にやってみましょう」
俺たちからの期待の眼差しを一身に受けた先生はそう言うとにっこりと笑い、パンっ!と両手を叩く。
すると先生の風の能力によって、教壇の横に置いてあった大きな箱の中からロウソク、風車、電球、コップが浮いて現れ、各生徒の元までふわりと運ばれていった。
ちなみに俺の所にはコップが、紅の所にはロウソクがある。
これで一体どんな鍛え方をするのかワクワクしながら俺はそれを見ていた。
「はい。今皆さんのところに今日の授業に必要な道具が運ばれたと思います。火の能力者にはロウソク、風の能力者には風車、雷の能力者には電球、水の能力者にはコップです。間違いはないか確認してください」
先生にそう言われて手元にある道具をもう一度確認する。
俺は水の能力者なのでコップで間違いない。