2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
あれからたくさんの先生が来て、生徒は全員外へと避難することができた。
「うっ、うゔ」
「こ、怖いっ」
「痛いよ…」
それでも先程よりかは落ち着いているとはいえ、生徒たちはまだパニックの中にあった。
無傷である生徒は少なく、皆所々に火傷や逃げるときに負った擦り傷、打撲などがある。
俺はその中でも数少ない無傷であり、落ち着いている生徒の1人であった。
そしてもう1人。
「…」
黙ったまま無表情にそれを見つめる紅。
「紅…」
心配になって紅へと声をかける。
だが、その声は紅には届かなかった。
「バケモノ!子どもが!ただの子どもがこんなっ!私の風でも消せないほどの力をっ!」
周りの生徒たちよりも明確に恐怖の対象として紅を責めているのは先程まで優しかったあの女の先生だった。
「…」
「何が葉月家のご子息だ!こんなバケモノみたいな力!」
ただ黙ってそれを聞いている紅を女の先生が憎しみを込めた目で睨みつける。
そしてその先生から強烈な嵐のように強い風が紅に向かって放たれた。
だがそれは紅の前に現れた大きな炎の渦によって簡単に消された。
「っ!バケモノのっ!」
そう叫ぶ先生の周りを紅の放った火が取り囲む。
それだけではない。その火は先生だけではなく紅の周りも先程と同じように火の海へと変えてしまったのだ。