2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「っ!葉月様!落ち着いてください!」
「みんなこっちへ!」
「水の能力者を集めろ!」
周りにいた他の先生たちが事態を収めようと騒ぎ始める。ある先生は生徒たちの避難を。ある先生はこの事態を収める為に水の能力者を集め始め、またある先生は紅へ落ち着くように声をかけていた。
このままでは紅が人殺しになるのではないか。
そう思うと俺の足は勝手に紅の方へと走り出していた。
「冬麻様!」
後ろから俺を止めるような声が聞こえるがそんなもの無視して紅の元へ走る。
止めなければ。今紅を止めなければきっと俺は後悔する。
少し考えれば実力的にこの事態を終息させる能力など自分にはないことなどわかりそうなものだが当時の俺はそんなこと頭の中のどこにもなかった。
ただ、紅を止めるのは自分なのだと思っていた。
水の能力で全身を水浸しにして火の海へ飛び込む。
少し熱いが自分の体が燃えることはない。
「紅!」
火の中心にいる紅の名前を必死に呼ぶ。
「武!?」
すると紅はそんな俺を見て心底驚いたような顔をした。
「何してるの!?早く逃げて!」
「何でだよ!それはこっちの台詞だ!」
「私はいいの!自分の火だもん!絶対燃えない!でも武は違うでしょ!?私今これを上手くコントロールできないの!バケモノなんだよ!?」
「じゃあ絶対そっちに行く!」
「何でだよ!」
必死にこっちへ来るなと叫ぶ紅だが俺はそれを一切無視してどんどん紅へと迫っていく。