2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
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あれから随分と時間が経った。
俺たちはもう高校生で今の紅にはあの時のような危うげな所はない。
だがもし。今紅が暴走してしまったら?誰が彼女を止めるのか。いや、止められるのか。
今までなら、俺が紅より強くあり続け、俺が紅を止めてきた。しかし今の実力差なら俺はきっと紅を止めることはできないだろう。
俺は紅より強くあり続けなければならない。
自分のことを「バケモノ」だと悲しげに言ったあの頃の紅の為に。
「…よし」
もう一度固く誓う。
この先何があっても俺は必ず紅をバケモノなどと呼ばせない。
まだ紅を失うという訳のわからない恐怖が俺の中にあったが、それでも強くなりたいという気持ちがその恐怖を打ち消した。
必ず俺は強くなる。絶対に。