2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
side龍
祠の向こうにはこの場にいるはずのない存在、紅がいる。紅はあの時、俺の目の前で確かに殺されたはずなのに。
俺の前に現れた紅は相変わらずだった。どこか様子がおかしい所もあったが、そんなことよりも紅が目の前で生きていることへの喜びが勝ち、あまり今は気にならなかった。
『…』
さて、それでも今はやることがある。この状況を正しく把握することだ。
紅は何かこのどこかおかしな状況を把握している様子。俺は紅に言われてこの忌々しい祠の中で今まで起きたことを思い返す。
そしてそれを紅に話し始めた。
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何千年も繰り返されてきた姫巫女たちと俺の因縁の関係。毎回封印が解ける1年前になると壊れかけた封印から俺のわずかな力が漏れ、弱いながらも俺は実体を得られるようになる。
そんな俺を姫巫女率いる守護者と名乗る人間たちが再度封印を施しにやってくる。
今回も同じように姫巫女たちは俺の元へやって来た。
そして俺から紅を奪った。
「紅!」
目の前で紅の心臓が貫かれ、この場に俺の悲痛な叫びが響き渡った。
姫巫女は封印すること以外何もできない。だから俺と紅は守護者4人を2人で相手にしていた。
1人で2人を相手にしている状況。明らかにこちらに武が悪い戦いだった。
鮮血が舞う。
その血は他でもない紅のもので。
紅はその場に力なく倒れた。その一瞬がゆっくりとゆっくりと過ぎていく。