2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
side紅
2回目だ。
淡々と今までのことを話す龍の言葉を聞いてすぐにそう理解した。
彼には1度目の記憶が何故かきっちりと残っている。
『彼は間違いなく記憶がありますね。これでは誤魔化しようがありません。アナタのこともむしろ話して彼を味方につけた方がいいでしょう。もちろん私の存在は伏せてくださいね?』
神様も私と同じことを思っていたみたいですぐに先程決めた方針の変更を私に伝える。
確かにこの世界を救う為には私1人よりも、龍も仲間にして2人での方が絶対いいはずだ。
「龍、さっきも言ったけどこの世界は2回目の世界なの。それで私のことなんだけど…」
龍にこの世界のことを伝える為に、この世界は一度破滅したことと、私はそれを阻止する為に動いていることを神様の存在は伏せ、それはもう長々とこの2度目の人生の冒険録を話した。
今まで神様もいれどもたった1人で抱えてきたものを一気に龍へと私はぶつけた。
「それでね、さっきはいろいろあって言えなかったけど私もまた龍に会えて嬉しかった」
『そうか。俺もだ、紅』
全てを話し終えた後に伝え忘れていた喜びを龍に伝えるととても優しい龍の声が聞こえた。
出会った頃の龍は本当に無愛想で私なんて使える駒の1人だっただろうが本当に優しくなったな、としみじみ思う。
2人でいろいろな修羅場を潜り抜けて来たしね。