2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「…」
嬉しい誤算があり、嬉しい気持ちでたくさん話してしまったが話していくうちに今日の目的はこれではないことを思い出す。
龍の記憶があったのはあくまでも誤算。本当は別の目的があって私は今日ここへ来ることを望んだ。
「…龍。私、明日初めて妖退治に行くんだ。この世界では初めての」
『…』
龍にとっては突然、だが私にとっては予定通りに話題を変えた。
今日の本当の目的はこれだった。
私は今でも妖の味方だ。1回目の最期だって妖の為に人間にとってはある意味悪役となった。
妖は自由奔放で気性が荒く、人間を害することが多い。だが、独りになってしまった私を慰めたのは心優しい妖たちだった。
だから私はそんな妖たちの味方でありたいと最期に思ったのだ。
妖にだって悪人もいれば善人もいる。人間と全く同じだ。
「今までと同じやり方はしない。きちんと善と悪を見極めてその妖を裁く。私は私のやり方で優しい妖たちを守りたい。今日はそれを言いに来たんだ」
『そうか』
私の決意に龍が淡々と答える。
こんな時だからこそ、相手の表情が見えないことがもどかしい。これでは龍がこのことについてどのように感じているのか読めれない。
ただでさえ感情が読みづらいのに。