2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「あー、落ち着いて落ち着いて。そんなに捲し立てなくてもちゃんと答えますから」
そんな私を見て人形の彼の表情がニコニコ顔から少しだけ困ったニコニコ顔に変わる。
……ニコニコ顔には変わらないのだが。
そして机の上にあったティーセットから慣れた手つきで私に紅茶を淹れてくれた。
「はい。まぁ、これでも飲んで」
「ありがとう。ズーっ!」
渡された紅茶を手に取って一気に喉に流し込む。少し熱かったが猫舌ではないのでこれくらい平気だ。
何でもいいから気を紛らわしたかった。
「ごちそうさまでした」
「ふふっ!どんな飲み方!そして早いっ!」
カチンっ、とコップを置いた私を見て人形の彼はおかしそうにそれはそれはおかしそうに笑い始めた。
「はぁー。久しぶりにこんなに笑いましたよ。アナタはやはり面白いお方だ」
「ありがとう。アナタは笑いのツボが随分浅いお方ね」
一通り笑い終えた人形の彼とそんな彼を見て私は少しだけ眉を潜めて毒を吐く。
そこまで笑えたか?紅茶一気飲み。
「言いますねぇ。アナタだけですよ?私をこんなに笑わせることができるのは」
ふふっと楽しそうに美しく笑って見せる人形の彼。訳がわからない人物だが彼が綺麗で美しいことだけは間違いようもない、今わかる唯一の情報だった。
……必要か必要でないかと聞かれればそれは限りなく必要のない情報だと思うが。