2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「…じゃあ兄さん、次の任務で死ぬかもしれない?」
「え!そんな訳…」
「でもおまじないじゃないんでしょ?任務って命懸けだし」
「いやいや。そうだけどこんなことで…」
「兄さんが死ぬなんて嫌だよ」
朱の言葉をなんとか否定しようとした。私がこんな任務なんかで死ぬものかと。だが否定の言葉を出す前にどんどん朱が顔色を悪くして言葉を吐いていく。
そして最終的にはその大きな瞳からポロポロとそれはもう大変綺麗な涙を流し始めた。
だから私もパニックになった。
「このおまじないは!他の人には効かないけど!私には効きます!」
ビシッと手を上げてそんなことを真面目な顔で言ってしまった。
いや、何だその変なおまじない!
と自分でツッコミを入れたいのだが、そんなこともちろんできず。
「よかったぁ。じゃあ今度から兄さんが死なないように任務に行くときはこのおまじないを必ずするね!」
朱はそんな私の言葉を受けて本当に安心したようににっこりと私に笑ってみせた。
任務ごとに必ず…?
この死にそうな状態をこれから任務の度に?
「いや〜、私強いし、これからはおまじないはなくても…」
「え…」
「必要ですね。ぜひお願いします」
やんわり断ろうとしたがそれを察して泣きそうな顔になった朱に敵う訳がなく。
私はまたまた真面目な顔をして、何なら自分からこの特殊なおまじないをお願いしてしまった。
本当に私は朱に弱い。そして特に朱の泣きには絶対と言っていいほど逆らえない。
こうして朱に流されるまま、この後も引き続き朱に文字通り全てのことをお世話されてしまう私であった。
もちろんお風呂だけは断固拒否したし、絶対逆らえない泣き落としをされても頑張って耐えてみせた。