2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「え、でも、俺、これ持ってきたし…」
「ダメだ。紅が着るのはこの中からだ」
「いや待って。女子高生に見せるなら制服が簡単で1番でしょう?」
「こっちの方が絶対可愛い」
「…っ!かわっ、え、は?」
琥珀の言動に惑わされていたらいつの間にか琥珀に私の制服セット一式が奪われたので返せとばかりに琥珀を説得するが、琥珀から真顔でなんだかむず痒いことを言われてしまい、私はまたまた固まって思わず赤面してしまう。
男として育てられてきた私だ。可愛い、なんて言われ慣れていない。そんな私に免疫なんてある訳がない。
何でそんなこと言う訳?
「か、可愛さはどうでもいいでしょ。任務に大切なのは若い女に見えるかどうか」
「任務の概要をよく読んだか?妖が狙う女は全員見目が整った女だった。だから少しでも可愛い方がいい」
「うっ」
「異論はないな?」
「…まあ、うん」
まだ諦めないぞ、と顔は赤いままだったが次期当主らしく私は冷静に言葉を並べたが、琥珀も同じく冷静な言葉を並べて私を簡単に論破した。
…知っている。見目の整った女が条件だからこそ私と琥珀が選ばれた訳だし。
でも制服姿だけでも充分可憐だったし、前回はその姿できちんと妖、誘き出せたんだよ!
そんなこと言っても伝わらないから言えないけどさ!