一途な恋とバックハグ
「な〜に?」

首を傾げるすみれの前に小箱を差し出す。

「開けて見て」

「え、これ…」

不思議そうにしていたすみれが小箱を開けて驚いた顔をする。
中には小さな一粒ダイヤのリングが納まっている。

「…今日って、なんかの記念日だったっけ?」

「何でもない日常だよ。そんな日々を、俺はすみれと共に一生過ごしていきたい」

「佑さ…」

涙目になるすみれは言葉を詰まらす。
すみれはまだ24で若いが、俺はもう33だし、正直、同棲するならいっそのこと結婚しちゃえ!という勢いで指輪を買った。
だから本当は記念日にバラなんか携えてロマンティックにプロポーズした方が女性は喜ぶだろうけど、こんな、不意打ちも思い出になるんじゃないかと思ってる。

「結婚しよう、すみれ」

「……」

すみれは何も言えないのかうんうんと頷くだけでぽろぽろと涙を流した。
震える手から小箱を受け取って指輪を取り出すと徐に左手を取り薬指にはめた。

「…う、嬉しい…どうしよう…幸せすぎる」

やっとの思いで言葉を発したすみれの手を引いて後ろから抱き締めた。
彼女のすべてを包みこむこの体勢が一番落ち着く。
すみれもこうやって抱き締められると守られてるようであったかくて好きという。
手を重ね身を委ねてくる彼女が愛おしい。


「これからもっと幸せにしてやるからな」

「…うん、私も佑さんを幸せにしてあげるからね」


交じり合う温もりから幸せが溢れ出すみたいだ。



FIN
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