一途な恋とバックハグ
「帰ろうか」と、道端で後ろから抱きしめられてる状態から解放され何気に手を繋がれて私はドキドキしっぱなし。
でも、憧れだった課長と手を繋いでるだけで夢心地だったのに私の暮らしてるマンションに直ぐに着いてしまった。

「ここです、私のマンション…」

「そうか」


せっかく想いを告げて舞い上がってたのにあっという間にお別れなんて寂しすぎる。
繋いだ手を離せなくてお互い沈黙してしまった。

あれ?でも、私は好きだって言ったけど、課長は嬉しいと言っただけ。
ほんとはどう思ってるの?
私達、これからどうなるの?
お付き合い、出来るのかな?

不安になって課長を見上げると課長も困惑して何か言いたげな様子。
ど…どうしよう?もしかして私の告白は嬉しいけど付き合う気はないとか言われちゃう?
上司と部下のままでいようなんて言われちゃって会社ではまた知らんぷりとかされちゃうの?
片想いをしてた時ならいざ知らず、告白しちゃった今それは辛いな…。

「…あ~笹川は家族と住んでるのか?」

「…え?いえ、一人暮らしですけど」

「そ、そうか…」

「…」

また沈黙。
やっぱり何か言いたげな課長が何を言いだすのか私は戦々恐々としていた。

「明日は土曜だな」

「…はい」

「休みだし、ちょっとおじゃましてもいいか?」

「…え?」

目を泳がし口元を隠した課長が薄暗い街灯の下でもわかるくらい真っ赤な顔をしていてドキッと心臓が跳ねた。
え?なんか課長がすっごい可愛いんですけど!?
年上の男の人を可愛いなんて初めて思ったよ。

…って…え?ちょっと待って?
今課長、なんて言った!?
うちにおじゃましてもいいかって?うちに課長が上がるってことだよね!?
上がるってことはその先も…と、経験も無いのに想像しちゃって頭がボンッ!と噴火した。

「せっかくだし、離れがたいと言うか…今後の話もしたいし、だめか?」

「どっ!どどど・・・っどうぞっ!散らかってますけど!」

窺うように私を覗き込む課長に緊張してカチコチになった私。
「ありがとう」とふわりと笑った課長に見惚れてしまった。



結局その日課長は私の家にお泊りした。
初彼、初お泊り、初×××…
何この急展開!幸せすぎるんですけど!
にやけ顔が止まりません!

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