浅葱色の約束。
生まれた日
駒回しだってあや取りだって。
毬つきや縄跳び、この時代の遊びにも慣れてきた頃。
朔太郎は誰よりも器用な男で、大ちゃんや虎吉は何でもこなしてしまう男にブーブーとケチをつける。
「でも大丈夫やな。一番下手っぴな奴はそこにおるし」
「まーた毬つき3回しか出来ひんってそれもう才能やぞ梓」
指を差されたような気がして、思わずムキになれば毬はポーンと遠くへ飛んで行ってしまった。
「なにしてんねん!」
責められながらも神社の端へと向かえば、そこに立っていた1人の男性は毬の動きを止めてくれた。
それでも差し出した手は払われ、奪われるように通りすぎる男。
「朔太郎、勉強はどうしたんや」
「と、…父さん…」
「こんな場所でこんな貧相なガキと遊ぶなんて。家の名を汚すつもりか」
お金持ちだと、前に大ちゃんは言っていた。
この町でも名のある裕福な家庭で、朔太郎はその長男。
だからこそ家は厳しいと。
丸眼鏡にシワ1つ無い着流し姿の男は、嫌な笑みを浮かべてじっと見つめてくる。