浅葱色の約束。
そしたらきっと、きっとその横にはお母さんがいて。
何かをしたら褒めてくれて、駄目なことをしたら叱ってくれて。
名前を呼んでくれて。
ご飯を一緒に食べて。
そんな当たり前を手に出来るなら、もう他に何も要らないのに。
「救護班…!!早くしろ…!!2人だ…っ!!
2人下敷きになってる…!!」
焦げたような油の匂いが鼻を掠める。
体はもう感覚を失って、隙間に覗いた太陽から伸ばされた手は幼い子供を救って。
「もう1人中学生くらいの女の子だ…!」
「がんばれ…!!君は絶対に助かる…!!」
1つだけ今、言葉を言えたなら。
助けてください───…
そう、言えたなら。
いつも気持ちは言わないようにしていた。
心に鍵をして誰も土足では上がりこめないくらいに。
ああ、どうして。