浅葱色の約束。




「今日も行くの?」



それからというもの、私は毎日のように神社へと向かった。


来る日も来る日も少々痛む体を引き摺って、その階段を登るけれど。

私が姿を現せば「遅い」と笑いかけてくれる数人の姿はあの日以来ない。

それでも日が暮れるまで待って、日が落ちて帰宅する。


そしてまた草履を履く今日。



「残念ながら今日は1日どしゃ降り」



そんなの関係ないと、本当なら言いたかった。


ザァァァァァ───…。


当分止みそうにない雨。

傘をさしてしまえば使える手だって無くなってしまう。

草履を履く動きを止めた私に、沖田さんはしゃがむようにして頭をポンポンと撫でた。



「今日は僕と遊ぼう」



鞠つきだって駒回しだって、沖田さんは上手だと朔太郎も言っていたっけ。



「…うん」



コクンと小さく頷いた私に、優しく微笑む沖田さん。



「それ前に梓、近藤さんが呼んでるよ」



少しだけ忘れそうになっていたが、私は近藤 勇の小姓なのだ。

その人が呼んでいるならどんなに忙しくても向かわなければいけない。



< 114 / 464 >

この作品をシェア

pagetop