浅葱色の約束。




それはずっと私が知りたかったもの。

桜の咲く春か、暑い夏の日か。
落ち葉が綺麗な秋か、それとも寒い冬の日か。


そんな当たり前のことを知らない毎日は、とても哀しいものだった。



「14歳、おめでとう梓」



この時代は言うほど悪くない。

親が居ないことだって、自分が捨てられた存在だということも誰かに言われるまで忘れていた。


だってここは、それ以上に暖かかったから。



「っ……、…っ、」



あぁ……そうか。

涙はこうして流れるんだ。

悲しいときだけじゃなくて、嬉しいときにも同じように流れる。



「おい泣いちまったじゃん!佐之さん!お得意の腹芸してくれよ!」


「はっ!?ここは総司だろ!おい総司っ!」


「…いいんですよここは泣かせてあげて。だって初めてでしょう、梓が泣いてくれたのなんて」



止めようと思っても止まらない。

視界が歪んで体は震える。
頭を撫でられる度に、それは増してゆく。



「確かにここまで痛々しいってのに泣かなかったもんな…。お前は平助と違って漢だぜ梓!」


「なっ!新八さん…!オレだって男だっつーの!」



やっぱり、あったかい。

家族を知らない私でも分かるものがここには確かにあった。



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