浅葱色の約束。




「つっても辻斬りでよく生き延びたもんだなお前…。なにも出来ないガキだと思ってたが見直したぜ」



本当のことを隠してくれた彼等の優しさも。

こうして初めてのものを与えてくれた優しさも。



「あ、…あり…が……とう…、」



パチパチ瞬きすればする分、大きな雫はポタポタと畳に落ちる。


また掃除しなきゃなぁと思うのに、みんなに見られて少し恥ずかしいのに。

涙が傷口に滲みてちょっとだけ痛いのに。


そんなの、今は気にならなかった。



「おめでとう梓。ほら、食べよう。美味しいものたくさんあるよ」



金平糖にお団子、柏餅に桜餅。

沖田さんは無邪気に笑った。



「てめえが食いてえだけだろ総司。…早くしねえとこいつに全部食われちまうぞ」


「そうだよ。僕の甘いものへの執着は一緒に食べ放題行ったときに見てるでしょ?」


「…おい、んなこたぁ1度も聞いてねえが」


「あれ?言ってませんでしたっけ」



14歳になったその日、私の初めての誕生日。

どんなプレゼントより高価なものをもらった。


───愛情。


それ以上に嬉しいものなんかこの世には何ひとつ無いんだって、初めて思った。



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