浅葱色の約束。
沖田side




「ねぇ近藤さん。僕ってどういう子でした?」



お酒に酔ってしまったのかな。

少女の誕生日会という名の宴会で、その夜もいつもより豪華な食事が用意され。


「これなら島原に行った方が早くねぇか?」と、言った新八さんに。

相変わらずきょとんと首を傾げた少女を見て土方さんは「あそこは主役を連れてく場所じゃねえだろ」なんて、一蹴り。


思わず僕はかつて女遊びの激しかったはずの、らしくない副長を前に大声で笑ってしまった。

でもそれはどういう意味で?とは聞けないまま。


子供だからか、それとも女の子だからか。



「ん?どうしたんだ急に」


「なんとなくです。酔っぱらいの戯れ言とでも思ってください」



そんな僕も久しぶりに佐之さんにつられて、いつも以上に呑んでしまった。


そんな主役は夢の中。

先程土方さんがため息を吐きながらも担いで部屋へ運んでいった。



「…そうだなぁ。総司は───」



ずっと僕の特等席だった近藤さんの隣は、そろそろ違う存在に譲らなきゃって思っていたけど。

たまにはいいよね。

僕だって甘えたいときはある。



「気難しくて、我が儘で悪戯で、」


「もっと褒めてくださいよ」


「褒めてるぞ?それで…とても優しい奴だったよ。いつも寂しい思いをさせてすまないな」



本当にこの人って、いつも誰かのことを考えて生きている人だ。

土方さんは僕に変わってないと言うけど、近藤さんがたぶん一番変わっていない。


この人が変わってしまったら、きっとこの場所も変わってしまうから。



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