浅葱色の約束。
「俺はもしかしたら一番辛いことをさせてしまってるのかもしれんなぁ…」
大切なものが増える度に、それは失うものと比例している。
ずっと続くものなど無いとわかっているからこそ、人は温もりを求めてしまう。
そんな期待をいつしか僕達はあの少女にさせてしまっているのかもしれない。
「なんて、失敬失敬。年取るとしおらしくなっていかんな」
保証など、どこにもないのだ。
だからこそちょっとだけ弱音を吐いてしまえば、それが本当になってしまうような気がして。
近藤さんは無理矢理に笑って僕の肩を叩いた。
「なぁ総司」
少しだけ間を開けて返事をした僕に、同じように時間をとった近藤さん。
「もし、俺に何かあったとき。…そのときは梓を頼む」
嫌だなぁ、そんなこと言わないでくださいよ。
あなたにそんなことあるはずが無いでしょう。そんなの僕だってそうはさせない。
それなのに、近藤さんのそんなにも優しい顔を見たのは初めてだったから。
あぁ、そうか。
あなたは親として、それくらいの愛情であの子を見ている。
だったら僕だって同じくらいの愛情を注いであげなければいけないのに。
「…あはは、勘弁してくださいよ近藤さん」
笑うことしか出来ない自分が、何よりももどかしかった。