浅葱色の約束。
自分のもの
その日、近藤さんに初めてお使いを頼まれた。
「暗くなる前には帰ってくるんだぞ梓」
「寄り道すんなよ」
きっとそれは彼等なりの気遣いだったんだと思う。
朔太郎たちとも会えなくなって、やっと怪我も治ってきたこの頃。
前までは毎日神社へと向かっていたけど、今は屯所にいる時間の方が長くなって。
でも心細さは前より減った。
それはいつも、みんなが傍に居てくれるから。
「場所はわかるか?」
「うん」
「不逞な輩に絡まれたら?」
「“僕は武士の小姓だ”って言うんだよ、土方さん」
「てめえがそれを言うんだからな。なんで俺が教えられてんだよ」
近藤さんと土方さんからの交互の質問に平然と答える。
毎日神社へは1人で行っていたとしても、こうして商店街へと向かうのは初めてのこと。
だからこそ2人は心配してくる。
それでも土方さんのお姉さんが来たときも、町まで送って行ってちゃんと戻ってきたのに…。
「やっぱり総司辺りに同行を頼んだ方が…」
「大丈夫だよ。なにかあったら走れるから」
「そ、そうか?でも転んだりしたら…」
近藤さんがお使いを頼んでくれたのに、そんな心配ばかりしてくれちゃうから。
思わず笑ってしまった。