浅葱色の約束。




それにしても最近になって分かったことは、土方さんもすごく心配性だってこと。



「迷子になりやがったらとりあえず女に場所を聞け。農民の女だぞ。武家の女には関わるな」


「どうして農民の人じゃなきゃ駄目なの…?」


「武家の女にゃろくな奴が居ねえんだよ」



鬼の副長ではないんじゃないかと思ってしまうくらいに。

それでも彼の命令は絶対。



「地味な着物着てクソ甘ったるい匂いしてなけりゃそれは大体農民だ」



コクコク頷いて了承。

やっぱり近藤さんが言っていたように、この人は本当は誰よりも優しいんだと思う。



「それでもまだ片眼の状態だから余計に心配だな…。なぁトシ」



眼帯はあと数日は外さない方がいいと、山崎さんには言われていて。

右眼を使えないっていうのは確かにとても大変。

でも今では当たり前のようになってしまっていたから。



「大丈夫、もう慣れたよ」


「阿保。慣れていいモンじゃねえんだよ」



ほら、やっぱり土方さんは優しい。

そうして心配する2人に手を振って、私は屯所を出た。



「梓!くれぐれも気をつけて行くんだぞ!」


「うん!行ってきます」


「暗くなる前に帰って来なかったら飯抜きだからな」



頼まれたものはお客様用の茶葉。

普通の茶葉より少し良いものをと、お金も多めに預かっていた。

変な輩に絡まれるとかよりも、そのお金を落とさないようにする方が個人的に心配だったり…。


町へ繰り出せば、たくさんの町人で溢れている京の都。



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