浅葱色の約束。




「さぁおいでやす!ウチ自慢の煎餅やで!」


「姉はん枝豆はどうだい?安うしとくで!」



客を呼ぶ店主、商品を売り付けては客寄せをする子供、立ち止まる町人。


繁盛している商店街。


刀を差している人もちらほら歩いてはいるけれど、私はそんなものを毎日のように目にしているわけで。

この時代の人間に溶け込んでいっている感覚が嬉しかったりもした。



「それは今一番人気な茶葉やで。少し高いがまけとくよ」



ふわっとお茶の香りがするお店の店主は、私にその匂いを嗅がせてくれた。

嗅いだだけで見分けがつくほどの鼻を持っていない為、あまり分からないけど…。



「味は…美味しいですか…?」


「当たり前や!保証はしたる!」



値段も渡されたお金が余るくらいだ。

一番人気だし無難な気がした。
近藤さんも喜んでくれるといいな…。



「これください」


「まいど!」



京の町には大きな橋がたくさんある。


確か三条大橋と四条大橋が有名な橋だと朔太郎は言っていたっけ。

その橋を繋ぐように流れる大きな川。

下には河原が広がっていて、そこで遊ぶ子供達。



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