浅葱色の約束。




そんな親子を面白がるように、男達は笑い声を上げた。



「ふははははっ!もっと頭を下げろ、わしは武士やで?」



なにも面白くない。
武士とは、もっとちゃんとした人だ。

刀を持つからこそ信念を掲げて生きているはずなのだ。


彼等のように。



「ん?女ぁ、随分と別嬪やないか」


「や、やめてくださいっ!」


「それで許したるわ。この意味、わかってんでな?」



男は女の顎に手をやり、顔を近づけて舐めるように見つめた。

子供は泣いて「母ちゃんに触るな!」と叫んでいるけど。


町の人は誰1人として助けようとしない。


それどころか見て見ぬふりをして。

関わらない方がいい。
関わってはいけない。

そんな声が聞こえてくるようだった。



「…なんだあんちゃん」



気付けばその男の腕を掴んで、無理矢理に女から離したのは私。

まさか不逞な輩に自分から絡みに行ってしまうなんて。


土方さんが知ったら説教どころではない。



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