浅葱色の約束。
「て、手荒な真似は良くないと思います…」
「あぁ?わしは武士やぞ。なにが手荒や、笑わせんちゃうで」
こんなときは土方さんから言えと言われていた言葉があった。
なめられない為に。
「僕も…武士の小姓です…!」
これは逆効果だった。
男たちは一斉に笑い出す。
───ドンッ!!
「わっ…!」
少し肩を押されてしまうだけで簡単に地面へ座り込んだ私に、その2人はニヤリと笑う。
茶葉の入った入れ物がコロコロ地面に転がった。
「刀すら持ってへんガキがしゃしゃり出てくんなや」
「っ…!」
───チャキ。
目の前に抜かれた刃は、喉元へ突き付けられる。
ゴクリと唾を飲み込ませた動きだけで刃に当たってしまうんじゃないかと。
叫ぶことすら出来ない空気感に、思わず震えた。
「おう、さっきまでの威勢はどうしたんや」
男はまた少し刃を近付けてくる。
いつの間にか親子は逃げていて。
今度のターゲットは私だ。
誰も助けてはくれない。
当たり前だ、いま出て来たらその人は確実に斬られてしまう。
どうしよう、どうしたらいいの。
頭の中でぐるぐると考えていたとき。
「退けっ!退かんか!ほれ助ける気ぃないなら道を空けんかえ!!」