浅葱色の約束。
「京の人間っちゅーんはまっことせっかちで困るき」
私の腕を再び掴んで立たせてくれる坂本 龍馬。
「見たくないもん見せられるとこだったがじゃ」
ガハハと豪快に笑う声に、耳がキーンと鳴った。
ボサッとした髪を適当にまとめて結っているような、癖のある髪が風に揺れる。
「だが───」
そんな男は私の頭をポンポンと叩いた。
「おまんは命を2つも救ったが。ようやった!ほれ、これ大事なもんやろ」
差し出された茶葉を受け取ってペコリとお辞儀。
そのまま向けようとした背中は、ガシッと掴まれた肩によって阻止されてしまい。
「まぁまぁこれも何かの縁ぜよ!少しわしに付き合え!」
さすがに助けてくれたお礼もあるし、断るわけにはいかないよね…。
それに私も少しこの人の話を聞いてみたかった。
「違うが!水切りは根性が全てやっちゅったろ!」
「え、でもさっき技が全てだって…」
「言ってな………言ったか、がははははっ!すまんすまん!」
嫌でも面倒でもない、不思議な時間。
「おまん、武士の小姓と言っちょったな。誰のや?」
「…近藤…勇」
「なにぃ!?近藤だと!?新撰組やないか!」
ガッと立ち上がって、構えるように私を見つめた坂本さん。
新撰組と坂本 龍馬の関係はあまり知らない私は、悪気があって言ったわけではなく。