浅葱色の約束。
気づけば屯所の門の前、私はすぐに頭を下げる。
「どうも…、ご苦労様でした…」
早く帰ってくれという空気を出したのに、全然帰ろうとしない…。
それどころか背伸びをするように屯所の中を興味津々に覗いている。
誰かに見つかりでもすれば確実にアウトだ。
「あ、おかえり梓。茶葉は───」
その人は私の後ろに立つ坂本 龍馬を目にすると、すぐに目付きを変えた。
やばい…。
それだけは私にも見てとれる。
沖田さんのそんな顔は初めて見るくらい、殺気だ。
「梓、」
───グイッ!!
「わっ!」
すぐに駆け寄って強めに引き、その男から離れさすように引き寄せられた。
「そがに睨まんでええ。別に捕って食やしりゃんぜよ」
今にも刀を抜きそうな面持ちの沖田さん、ただ笑っている坂本さん。
この異様な空気感はとてつもない恐怖があった。
沖田さんは新撰組の中でも一位二位を吟われる剣士のはずが、この坂本という男の方がもっともっと大きな気がして。
「ここがどこか知って来てるとしたなら、あなたはかなり馬鹿なんですね」
「友に身分は関係ないぜよ。新撰組やろうが何やろうが友は友じゃ」
「…友?」