浅葱色の約束。




「た、助けてくれたんだよ…」



これは嘘じゃない。


沖田さんも土方さんも一瞬私を捉える。

坂本 龍馬に助けられなかったら、私は確実にここにはいない。


私の弁解に、彼は銃を懐に納めた。



「この少年は勇気ある男ぜよ。親子を救ったんじゃき」


「そ、それで、返り討ちに合いそうになったところをこの人が見つけてくれて、」


「ほんでわしらは友になったっちゅー、な?」


「う、うん」



ガハハハっと坂本 龍馬の笑い声。

そんな私達を黙って見つめ、土方さんは舌打ちを1つ落として吐き捨てるように「帰れ」と放つ。



「いま帰れば逃がしてやる。だが次ここに来やがったら、そのときは斬る」


「ったく、土方とやらはまっこと物騒な男じゃ。また会おうぜよ少年!」



私に伸ばされた腕は沖田さんにパシッと払われてしまった。



「うちの子を助けてくれてどうもありがとうございました。どうぞお帰りください」


「…まっこと短気な奴等ぜよ」



あ、そうだ。
坂本さんに私からもお礼を言わなくちゃ。

遠ざかってゆく背中を引き留める為に「坂本さーん!」と、名前を呼んだ。



「た、助けてくれて、ありがとうございましたーー!水切りは技と根性でいいんですよねーー!!」


「諦めない心も追加しちょきーーー!!」


「はーい!」



ヒラヒラと手を振ってくれるから、同じように振り返した。

あの人はやっぱりそこまで悪い人じゃないと思う。



「ったく、…1人で行かせた俺が馬鹿だった」



土方さんは私の頭を軽く叩き、襟を掴む。

ズルズルとそのまま彼の自室へと。


その先で待っているはお説教。








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